- 作者: 金原瑞人
- 出版社/メーカー: 牧野出版
- 発売日: 2005/12
- メディア: 単行本
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ものすごく面白くてほぼ一気読み。
金原さんの翻訳本は読んだことない(と思う)のですが、このエッセイでファンに(ミーハー)。翻訳家になるきっかけになった教授との出会いなど運命の分かれ道!というべきエピソードをさらさらっと流すように書いたり、その教授の仰天エピソード(え?こんなことバラしていいの?)を詳細にしたためたり。。など金原さんの歴史がぎっしり詰まっていて楽しい。
翻訳家の仕事を自虐気味に書いていたりもするのだけど、やはりこれが自分に合っているとキチンと把握されているところがスカッとして気持ちいい。
赤木かん子さんは後輩に当たるそうで、かん子さんを「英語は全然ダメだけど児童文学に異様に詳しい」と評するなど、金原さんって口は悪いけど。。な人らしい(と思いました)
当たり前なのかもしれないけど、英語の文学作品(といえばいいのか)に関する知識が広くて深く、出てくるタイトルや作家名は知らないことが多い(恥^^)のだが、「あれといえばこれ」「これといえばそれ」とスラスラ導き出されるところが心地よく、この本一冊丸ごと英文学指南本ともいえるのでは。
(私は全然追いつけませんが)
NHK週間ブックレビューで仕事ぶりを拝見したことがありますが、それはもう神業!でした。原作をコピーしたもの?をパソコンの前の目の高さに貼り付けて「読みながら直接訳をパソコンに打ち込んでいる」のです。スピード感に驚きました。
そして下積みの仕事。というか原書を下読みしてあらすじを短くまとめる(できればコメントも)みたいな仕事も相変わらずされていると。
本の中で度々出てきた「時給に換算すればファストフードのアルバイト並み(あるいは以下)」という激務も、「下読み作業をしたものの中から翻訳本が出版されるのはわずか」というお話しからも納得です。
下読み作業の難関をくぐり抜けて翻訳本出版に漕ぎ着けた本はいわば「選りすぐり」なわけだと、金原さんと司会の児玉さんの嬉しそうなお顔を思い出します。。