2020年本屋大賞受賞時、2022年映画公開時にも
気になりながら触れてこなかった作品。
タイトルが何かさみしげで(個人の感想です)深くは内容を調べたりもしなかった。
オーディブルにあると知り、これなら受け身だし、無理なら止めれば良いと聞いてみた。
とても聞きやすく、情景を脳裏に描きながら聞く。
心配していた悲惨なシーンも出てはくるが抑制がきいており、それよりも物語の続きが知りたくてどんどん聞き進む。
親戚に預けられている小学生女子「更紗(さらさ)」が、学校帰りにその家に帰りたくなくて、雨の日に公園で声をかけてきた男子大学生「ふみ」のアパートについていって数ヶ月暮らす。更紗が行方不明者になっているとニュースで報じられ、2人で出かけた先で通報され、「更紗」は元の親戚の家に戻され「ふみ」は誘拐犯(小児性愛者と報道される)として捕まる(19才なので補導?)。
それから15年後くらい?に話が飛ぶ。
更紗はどこへ行っても、「小児性愛者に誘拐されたかわいそうな女の子」という目で見られ同僚にも心配してるふうを装い好奇の目で見る人もいる。当時のニュースや野次馬がアップした保護された時の動画などが出てくる、という苦しみ。。
同棲中の彼氏がいて、彼もそれを承知なのであるが。。親にどう話そうか考えているし、でも更紗の性格や家事を一生懸命していることなどを知ればきっと許してくれるはず。と言う。。許す?。。。
上司は更紗に、正社員登用にチャレンジするように勧めてくれる。彼氏からDVを受けているのではと察し、本気で更紗が経済的に自立できるようにと心配してくれていて親身になるとはこういうことだと救いを感じた場面。
そんな時に再会する更紗とふみ。
あの2人がまた会っている!彼女は誘拐犯に洗脳されている!
と、週刊誌にさらされ、過去の事件が蒸し返され、正社員登用の話は無くなる。。
容赦なくふたりを苦しめることが次々とおこるが、今回のふたりは負けないのだ!勝ち負けじゃないけど。
(と、急にまとめてしまった笑)
まったくこの作者、凪良ゆうさんのことを存じなかったのですが。
続けて聞いた作品「汝、星のごとく」にも通じるものがあるように思った。
報道やデジタルタトゥーなどに苦しむ人。
周囲(職場、親戚)の無理解、無神経、思い込み。
そんな中にいるひとにぎりの理解者に救われること。
作者はこのものがたりの中に様々な思いをこめたのかな。
私自身が中高生の頃にこれを読んだらどう考えたかな。とも思った。
続けて映画も見た。
原作に沿っていて、抑制の効いた映像の美しい作品でした。
子役の女の子が良かったな。