王様は裸だと言った子供はその後どうなったか

王様は裸だと言った子供はその後どうなったか (集英社新書 405B)

王様は裸だと言った子供はその後どうなったか (集英社新書 405B)

森さんによる物語の続編、といったらよいでしょうか。。

【1】王様は裸だと言った子供はその後どうなったか
【2】桃太郎
【3】 仮面ライダー ピラザウルスの復讐

ここまでは…【2】と【3】がよくわかりませんでしたすいません。
桃太郎が悪者にされすぎて気の毒な。。

次3編とも非常に面白く生き生きしていると思う。
【4】赤ずきんちゃん
何故病弱なおばあさんが森の奥で一人暮らしをしているのか?とか何故狼がいて危険な森へ一人でおつかいにいったのか?という違和感に基づき森さんが立てた仮説と展開が非常に面白い。
狼のケモノヘンをオンナヘンに変えてみよう。要するに狼と赤ずきんは似たもの同士なのだ。なるほど〜(って納得するのもどうかと思いますが)


【5】 ミダス王
ギリシャ神話でわかったような解らないようなミダス王の話を非常にわかりやすくまとめてくださってますね。
それと、ミダス王が耳をロバの耳にされてしまったあの王様だったの?

理髪師が穴を掘って言いふらしたとされる展開、じつはこれが王自身が自分で言ったのだと。。秘密を守る重さに耐えられないのは本人だって同様だ。そうか。

【6】 瓜子姫
瓜子姫のあらすじを久しぶりにおさらいしましたが怖いんですねえ。
ここで引用されているおはなしは、小学館のものですが、これがいいです。

最初瓜子姫が機を織っている場面では
「とん ぱたり
とってん ぱたり」なのに、

あまのじゃくが化けた瓜子姫は
「どん ばたり
どってん ばったり」

*****

ここまで読んだところで、ですが、引用している作品が選りすぐり、なのではないでしょうか。どれももっと続きを読んでみたくなる文章ばかりです。
そこへうまく森さんがパロディで作ったお話しやら、森さん自身のつぶやきが交わって、とても楽しい読み物になっていると思います。
また続きを読んだら、ここへ追記していけたらよいな。。12/22


*******以下、12/26編集******

【7】コウモリ
(引用→)『子どもは教条が苦手だ。大人が考えるよりずっと複雑で、それなりに内省しているし咀嚼する力もある。だからね、国を愛する心を持とうとか、誇りを持とうとかのフレーズを教科書に入れたがる人が最近多いようだけど、本気でそう仕向けたいのなら、あまり声高にならないほうがいいと僕は思う。』(同感です^^)

【8】美女と野獣
(引用→)『この「美しい女性」と「不細工な怪物(動物)」との恋物語のパターンは(中略)世界各地に様々なバリエーションが残されている。いわゆる「異類婚奇譚」だ。
美女と野獣のベースはのひとつは2世紀のローマ時代にアプレイウスが書いた「アモールとプシケー」だといわれている。』(この蘊蓄だけでも20へえ!私って疎い。。そのほか、森さんによる解釈と続編にも納得のアラシ)

【9】蜘蛛の糸
芥川龍之介という人も相当の想像力というか。。古典を下敷きにした小説を数多くかいているが、ここで森さんが紹介しているのが「猿蟹合戦」。
なんと、「猿を殺害した容疑で起訴された蟹がついに死刑判決を受けるまでを話の軸にしている」というのですから。

それにしても森さんの「蜘蛛の糸」の解釈はすごい。
お釈迦さまも「罪な」思いつき(蜘蛛の糸を垂らして罪人カンダタを地獄から救い出そう…かなっ?)をしたもんだ。罪な、というのは結局ご自分に降りかかってくることにもなったから。。あくまでも森さん流の解釈による続編によれば、、ですが。

【10】みにくいあひるのこ
こちらもまた、不意を突かれたというか目からウロコというか、誰も気付かなかったのか。みにくいあひるのこの兄姉たちや、他の登場人物、あ、登場動物たちは、白鳥の子どもを知らなかったのか?みにくいあひるのこをみて、「あ、これは白鳥さんの子どもだ!」と気付かなかったのか?ということですね。

アンデルセンの生い立ちやら数々のエピソードもぶっ飛んでいる。
並はずれた自己顕示欲と功名心が透けて見える。。というか厚かましい。

【11】ふるやのもり
工学博士の中西準子さん「環境リスク学ー不安の海の羅針盤
ハザードとリスク。なるほど。

【12】幸福の王子


【13】ねこのすず
(引用→)『ちゃんと調べさえすれば、そして統計さえ取ればその程度のことはすぐにわかる。でもいったん恐怖や不安が発動してしまうと、なかなかそんな冷静な視点は持てなくなる。
 こうして街には監視カメラや警備員が増殖する。』

その恐ろしさが「トムとジェリー」(名前は偶然の一致であってあのアニメとは無関係らしい)たちの会話によってあぶりだされている。
ジェリー以外のネズミたちは「猫=危険」と思いこんでおり、仲間は猫に殺されていると思いこんでいる。軒下のアオダイショウにやられたり、交通事故に遭うことが原因のほとんどなのに。今の猫はネズミを追いかけるがほとんど(トムに至っては全然)食べない!そりゃあ本能だから殺すことはあるかもしんないけど^^;

猫たちの会話がすごい。
ジェリーが「猫は本当に危険か?思い込みではないか?」というと向かいにすわっているご婦人が「何言っているのよこの人は」「次の市議選に社民党から立候補するんじゃない?」「あたしは入れないわ」
「市議選なんてどうでもいい!」とジェリーが叫ぶと「あらまあ、参院選かしら?」

って…

【14】ドン・キホーテ
こんな話だったのか。サンチョ・パンサとかダルシネアとかとくにサンチョ・パンサドン・キホーテに振り回されただけ?よくこれだけ暴れられるな。
時代背景の解説もあり大変興味深くよみました。

【15】泣いた赤鬼


新書版出版にあたりボリュームがありすぎるということで割愛された三編もぜひ読んでみたくなりました。
パンドラの箱」「星の王子さま」イソップの「嘘つきの子供」